2017.03.16
こんな時くらい甘えろよ
俺様鷹男シリーズ第四弾。
ホワイトデーのお話、「俺だけを見てろ」の続きになります。
**********
『 こんな時くらい甘えろよ 』
鏡に映った自分を見て驚愕!!!
女って、化粧と髪型と服で本当に化けるんだねぇ。
目の前にいるのは、生粋のお嬢様?って感じの綺麗なあたし。
軽くエステしてもらったお陰で肌がぷるぷるで化粧のノリもイイ。
髪をクルンと巻かれたのも、エクステを付けられたのも初めて。
勿論まつ毛エクステも初めてだ。
クルンクルンしているまつ毛・・・・なんかくせになりそう・・・・
そして一番くせになりそうなのが・・・・
「どうした?疲れたか?」
とびきりの笑顔で優しい言葉をかけてくれる超イケメン男・・・社長だ。
いつもは悪態ばかりついてくる俺様社長なのに。
今日はあたしを美容院に迎に来てくれた時からめっちゃめちゃ優しい。
本当にお姫様になったみたいでふわふわする。
「いえ、だ、大丈夫です。」
本当は慣れないヒールで足がちょっと痛いのだけど、それくらい我慢だ。
最初はどうなることかと思ったけど、美味しい物も食べられて(軽くだけど)、優しくされて。
しかもご褒美として今日身につけているもの全て貰えるのだから悪くない。
今日は仕事でもあるがプライベートでもあるパーティーだって言っていたけど・・・・
一体その言葉にどんな意味があるのだろうか?
因みに、このパーティーはとあるお嬢様のお誕生日パーティーだった。
まさか社長がそういったモノに来るとは思ってもいなかったからちょっとびっくり。
なんでも、昔から懇意にしている会社の娘さんの誕生日パーティーに招待されたらしく、断れなかったとか。
でもだからって、どうして女性を同伴する必要が・・・・?
頂いたカクテルに口を付けた瞬間、社長が耳元で囁いてきた。
「三条、これからが本番だからミスるなよ?
それと俺のことは絶対に社長って呼ぶなよ?わかったな。」
さっきまでの甘い声とは裏腹に、いつもの俺様社長の声だ。
来る時に、今日は互いのことを名前で呼び合うこと・・・って約束させられていた。
名前で呼ぶって、結構むず痒いんだけど仕方がない。
了解の意味を込めて小さく頷いた。
「鷹男君、よく来てくれたね!」
にこやかな顔をしたおっさんが綺麗な女性と近づいて来た。
あれ、この女性は今日の主役の方・・・・だよね?
「藤原社長、ご無沙汰しております。
公子さん、お誕生日おめでとうございます。」
「いやいやありがとう。来てくれて嬉しいよ。」
「鷹男さん、ありがとうございます。」
お二人がそうおっしゃって、同時にあたしの方を見た。
こ、怖い顔してるよ?
「瑠璃、こちら懇意にしているFujiwaraの藤原社長と御長女の公子さんだよ。」
驚く程甘い顔であたしに紹介してくれる社長。
「は、初めまして。三条・・・・瑠璃です。」
ペコリと頭を下げたら。
「存じ上げておりますわ。今鷹男さんの秘書をされている方の御一人ですわよね?
鷹男さん、こんな時くらい秘書さんなんてお連れにならなくても・・・・」
公子さんの社長を見る目とあたしを見る目が完全に違う!
これは絶対に勘違いされてるよ?
っていうか、公子さん、社長狙いなんだ?
なんでこんなとこにあたしがー!!??
「公子さんは何でもご存知なのですね。ええ、瑠璃は私の秘書でもありますが、プライベートでは恋人でもあるんですよ。」
そう言って超甘い瞳であたしを見るから、皆の視線があたしに集まる。
え゛!?
そういう設定なの!?
文句の一つも言いたいけど、今日は全て笑って、「鷹男」と名を呼ばねばならない約束。
くそー!嵌められたよ!!
「恋人って・・・・本当なの?瑠璃さん?」
公子さんが狐のような目をあたしに向けてくるから・・・・
「は、はい・・・・。」
そう小声で呟いて、恥ずかしいとばかりに社長の腕に顔を埋めた。
本当は顔を見られたくなかっただけなんだけどね。演技下手だからバレそうで怖くて。
「まぁ・・・・鷹男さん、どうしてこんな一般庶民の方と・・・・」
公子さんが潤んだ瞳を社長に向けて。
「公子、鷹男君だって男だ。遊び相手の一人くらい居てもおかしくないだろう。
将来妻になるつもりなら、それくらい笑って許せる器量がないと駄目だぞ。」
「はい、お父様。」
え゛!?
この人、社長の婚約者様なの?
そう思って社長を見上げたら、にこにこしているだけで何も反論しようとしていない。
ってことは本当なんだ?
で?あたしは社長のセフレ役!?
何の為に!!!!??
「藤原社長、その話は今は・・・・・・」
「はははは、そうだったな。」
なんだかもっと訳がわからない。
でもいいけどね、関係ないし。
「鷹男さん、少しだけ二人でお話しませんか?」
公子さんが熱い瞳を社長に向けてくるのだけど、社長は怯むことなくそれ以上の笑顔で・・・
「申し訳ありません。今日は連れがいますので。
じゃあ瑠璃、行こうか。」
そう言うと、唖然とする二人を無視してその場を立ち去ってしまった。
背中に視線が突き刺さるよ!!
ようやく部屋の隅まで来て、ほっと一息ついた。
「しゃ・・・・・じゃなかった・・・鷹男さん、何なんですか、今のは!」
「鷹男でいいよ、瑠璃。さん付けで呼ばれると他の女と変わらない。」
そう言って顔を歪める。
よっぽど公子さんの事が嫌いなのかしら?
「ふう。これが嫌だからお前に来てもらったんだ。」
「婚約者・・・・ではないんですか?」
「正確には違うな。婚約はしていないから。
ただ、このままいくと婚約者になる可能性が高い。」
「政略結婚ってやつですか?」
「はぁ・・・・まぁな。そうならない為に今がむしゃらに頑張ってはいるんだがな。」
「―――――綺麗な方だし、何が不満なんですか?」
「ほう、じゃあお前はイケメンならば誰とでも結婚出来るのか?」
「いや、出来ませんけど。」
「同じだ。俺も結婚相手は誰でもいいって訳じゃない。」
まぁ、そうなんだけどさ。
社長って、平気で政略結婚とかしそうな感じに見えたからちょっとびっくり。
「もう少しで終わるから、もう少しだけ頑張ってくれ。」
爽やかにそう言われると、ついつい、頷いてしまう。
ほんと、社長って悪態つかなければイイ男なんだよねー。
「大丈夫です。最後までがんばりますから。」
そう言ったら、またまたとびきりの笑顔が返って来て。
ついでに何故か頭をそっと撫でられて。
何故か心臓がバクバク音を立てた。
やだ、あたし。なんでドキドキしてるの!?
火照る顔を見られたくなくて・・・・・
「あ、あの・・・・ちょっとお手洗いに行ってきます。」
そう言ってその場を立ち去った。
トイレを済ませ、化粧も直して。
会場に戻ろうとしたら、後ろから声をかけられた。
「瑠璃さん。」
げっ・・・・この声は・・・・・・
振り返ると、思った通り公子さんが立っていた。
もしかして付いて来たのかな?
「あぁ、公子さん。どうかされましたか?」
笑顔が引き攣っていませんようにと祈りつつ、笑顔を浮かべた。
「どうやって取り入ったのか知らないけど・・・・・
悪い事言わないから、早く鷹男さんから離れなさい。」
「はぁぁ?」
何これ。典型的な悪女の台詞吐いちゃうわけ?
「はぁ?じゃないわよ。あなたのような庶民が相手にする人じゃないのよ、あの方は。
セフレか何か知りませんが、早々に退散して下さる?」
そう言って、さっと目の前に封筒が差し出された。
「これで帰って頂戴。」
見るからにお金が入ってます・・・・って感じ。
手切れ金ってヤツですか?
「あのー、何なんですか?」
「お金が欲しいんでしょう?それならこれをあげるから帰りなさいって言ってるのよ。」
「いりません。っていうか、恥ずかしくないんですか?こんなことして。」
「何がかしら?」
「そんなに鷹男の事が欲しいのなら陰でこそこそしないで、正々堂々と戦ったら如何です?」
「どういう意味?」
「そういう意味です。」
あぁ、ヤダヤダ。
こんな低次元な話していたくない。
そう思って踵を返したら・・・・
え?
ドンっ!!
って後ろから押されて。
丁度段差の所を歩いていたから、よろけて・・・・
堪えようとした瞬間、足がぐきっ!っと音を立てた。
やば・・・・捻った。
壁に手を付いて、なんとか転ぶのを防いだのだけど・・・・歩けない。
そんなあたしの横を、ふふんっ!って感じで笑いながら公子さんが通り過ぎた。
押したの、絶対この人だよね!?
でも証拠も何もないから何も言えない。
悔しいのと、足が痛いのと、歩けないのとで俯いていたら・・・・
「えっ!?」
急に体がふわりと宙に浮いた。
「しゃ・・・・・鷹男!?」
公子さんが振り向いたのがわかった。
「どうした?誰かに押されたのか?」
あたしを抱きあげてくれた社長が、怒ったような顔であたしを見ていた。
公子さんは、動じることなくこっちをじっと見ている。
今此処で、公子さんに押されたって言っても、誰も信じてくれないだろう。
大騒ぎするだけ無駄なこと。
だって公子さんは今日の主役なのだから。
「ごめん・・・・段差に足を取られて転びそうになって・・・・」
「ったっく、お前はドジだな。帰るぞ。」
そう言って。
あたしを抱きあげたまま、歩き出そうとするから。
「ちょ、大丈夫ですから下ろして下さい!!」
皆の視線が集まっていて怖い。
そりゃあそうよね。社長はそれでなくても目立つんだから。
狙っている女性もわんさかいるんだろうし。
一瞬立ち止まった社長が言った。
「足、痛いんだろ?」
「ま、まぁ・・・・・。でも手を貸して貰えれば歩けますから・・・・・」
そう言ったら・・・・
「瑠璃、こんな時くらい甘えろよ。」
超絶に甘い甘いあまーーーーーい顔と声でそう囁かれた。
周りではきゃーっていう声も聞こえたし、あたしも心臓がばっくばく!!
何これ、マジでキュンときたんですけどー!!
って、トキメイテいたら。
耳元で俺様声が響いた。
「恋人設定なんだ。お前も甘い台詞の一つくらい言えよ。」
見れば公子さんが睨むような目でこっちを見ている。
ううー!!わかりましたよ、わかりましたよ!!
「鷹男、早く帰ろう?二人きりに・・・・なりたい・・・・」
とびきりの可愛らしい声でそう言って。
社長の首にぎゅっと抱きついた。
なるようになれーっ!!
きゃあきゃあと言うざわめきの中、「良くやった、三条」って社長が耳元で囁いて。
あたしは社長に抱きかかえられたままその場を立ち去ったのだった。
―――――そして・・・・
結局社長のマンションに連れ帰られたあたしは。
なんだかんだと言い含められ。
プレゼントに貰ったパジャマを着て、社長のマンションにお泊りすることになった。
勿論部屋は別だけど・・・・・
なんかこれって、どうなのーーーーーー!!!??
続くかも?
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『 こんな時くらい甘えろよ 』
鏡に映った自分を見て驚愕!!!
女って、化粧と髪型と服で本当に化けるんだねぇ。
目の前にいるのは、生粋のお嬢様?って感じの綺麗なあたし。
軽くエステしてもらったお陰で肌がぷるぷるで化粧のノリもイイ。
髪をクルンと巻かれたのも、エクステを付けられたのも初めて。
勿論まつ毛エクステも初めてだ。
クルンクルンしているまつ毛・・・・なんかくせになりそう・・・・
そして一番くせになりそうなのが・・・・
「どうした?疲れたか?」
とびきりの笑顔で優しい言葉をかけてくれる超イケメン男・・・社長だ。
いつもは悪態ばかりついてくる俺様社長なのに。
今日はあたしを美容院に迎に来てくれた時からめっちゃめちゃ優しい。
本当にお姫様になったみたいでふわふわする。
「いえ、だ、大丈夫です。」
本当は慣れないヒールで足がちょっと痛いのだけど、それくらい我慢だ。
最初はどうなることかと思ったけど、美味しい物も食べられて(軽くだけど)、優しくされて。
しかもご褒美として今日身につけているもの全て貰えるのだから悪くない。
今日は仕事でもあるがプライベートでもあるパーティーだって言っていたけど・・・・
一体その言葉にどんな意味があるのだろうか?
因みに、このパーティーはとあるお嬢様のお誕生日パーティーだった。
まさか社長がそういったモノに来るとは思ってもいなかったからちょっとびっくり。
なんでも、昔から懇意にしている会社の娘さんの誕生日パーティーに招待されたらしく、断れなかったとか。
でもだからって、どうして女性を同伴する必要が・・・・?
頂いたカクテルに口を付けた瞬間、社長が耳元で囁いてきた。
「三条、これからが本番だからミスるなよ?
それと俺のことは絶対に社長って呼ぶなよ?わかったな。」
さっきまでの甘い声とは裏腹に、いつもの俺様社長の声だ。
来る時に、今日は互いのことを名前で呼び合うこと・・・って約束させられていた。
名前で呼ぶって、結構むず痒いんだけど仕方がない。
了解の意味を込めて小さく頷いた。
「鷹男君、よく来てくれたね!」
にこやかな顔をしたおっさんが綺麗な女性と近づいて来た。
あれ、この女性は今日の主役の方・・・・だよね?
「藤原社長、ご無沙汰しております。
公子さん、お誕生日おめでとうございます。」
「いやいやありがとう。来てくれて嬉しいよ。」
「鷹男さん、ありがとうございます。」
お二人がそうおっしゃって、同時にあたしの方を見た。
こ、怖い顔してるよ?
「瑠璃、こちら懇意にしているFujiwaraの藤原社長と御長女の公子さんだよ。」
驚く程甘い顔であたしに紹介してくれる社長。
「は、初めまして。三条・・・・瑠璃です。」
ペコリと頭を下げたら。
「存じ上げておりますわ。今鷹男さんの秘書をされている方の御一人ですわよね?
鷹男さん、こんな時くらい秘書さんなんてお連れにならなくても・・・・」
公子さんの社長を見る目とあたしを見る目が完全に違う!
これは絶対に勘違いされてるよ?
っていうか、公子さん、社長狙いなんだ?
なんでこんなとこにあたしがー!!??
「公子さんは何でもご存知なのですね。ええ、瑠璃は私の秘書でもありますが、プライベートでは恋人でもあるんですよ。」
そう言って超甘い瞳であたしを見るから、皆の視線があたしに集まる。
え゛!?
そういう設定なの!?
文句の一つも言いたいけど、今日は全て笑って、「鷹男」と名を呼ばねばならない約束。
くそー!嵌められたよ!!
「恋人って・・・・本当なの?瑠璃さん?」
公子さんが狐のような目をあたしに向けてくるから・・・・
「は、はい・・・・。」
そう小声で呟いて、恥ずかしいとばかりに社長の腕に顔を埋めた。
本当は顔を見られたくなかっただけなんだけどね。演技下手だからバレそうで怖くて。
「まぁ・・・・鷹男さん、どうしてこんな一般庶民の方と・・・・」
公子さんが潤んだ瞳を社長に向けて。
「公子、鷹男君だって男だ。遊び相手の一人くらい居てもおかしくないだろう。
将来妻になるつもりなら、それくらい笑って許せる器量がないと駄目だぞ。」
「はい、お父様。」
え゛!?
この人、社長の婚約者様なの?
そう思って社長を見上げたら、にこにこしているだけで何も反論しようとしていない。
ってことは本当なんだ?
で?あたしは社長のセフレ役!?
何の為に!!!!??
「藤原社長、その話は今は・・・・・・」
「はははは、そうだったな。」
なんだかもっと訳がわからない。
でもいいけどね、関係ないし。
「鷹男さん、少しだけ二人でお話しませんか?」
公子さんが熱い瞳を社長に向けてくるのだけど、社長は怯むことなくそれ以上の笑顔で・・・
「申し訳ありません。今日は連れがいますので。
じゃあ瑠璃、行こうか。」
そう言うと、唖然とする二人を無視してその場を立ち去ってしまった。
背中に視線が突き刺さるよ!!
ようやく部屋の隅まで来て、ほっと一息ついた。
「しゃ・・・・・じゃなかった・・・鷹男さん、何なんですか、今のは!」
「鷹男でいいよ、瑠璃。さん付けで呼ばれると他の女と変わらない。」
そう言って顔を歪める。
よっぽど公子さんの事が嫌いなのかしら?
「ふう。これが嫌だからお前に来てもらったんだ。」
「婚約者・・・・ではないんですか?」
「正確には違うな。婚約はしていないから。
ただ、このままいくと婚約者になる可能性が高い。」
「政略結婚ってやつですか?」
「はぁ・・・・まぁな。そうならない為に今がむしゃらに頑張ってはいるんだがな。」
「―――――綺麗な方だし、何が不満なんですか?」
「ほう、じゃあお前はイケメンならば誰とでも結婚出来るのか?」
「いや、出来ませんけど。」
「同じだ。俺も結婚相手は誰でもいいって訳じゃない。」
まぁ、そうなんだけどさ。
社長って、平気で政略結婚とかしそうな感じに見えたからちょっとびっくり。
「もう少しで終わるから、もう少しだけ頑張ってくれ。」
爽やかにそう言われると、ついつい、頷いてしまう。
ほんと、社長って悪態つかなければイイ男なんだよねー。
「大丈夫です。最後までがんばりますから。」
そう言ったら、またまたとびきりの笑顔が返って来て。
ついでに何故か頭をそっと撫でられて。
何故か心臓がバクバク音を立てた。
やだ、あたし。なんでドキドキしてるの!?
火照る顔を見られたくなくて・・・・・
「あ、あの・・・・ちょっとお手洗いに行ってきます。」
そう言ってその場を立ち去った。
トイレを済ませ、化粧も直して。
会場に戻ろうとしたら、後ろから声をかけられた。
「瑠璃さん。」
げっ・・・・この声は・・・・・・
振り返ると、思った通り公子さんが立っていた。
もしかして付いて来たのかな?
「あぁ、公子さん。どうかされましたか?」
笑顔が引き攣っていませんようにと祈りつつ、笑顔を浮かべた。
「どうやって取り入ったのか知らないけど・・・・・
悪い事言わないから、早く鷹男さんから離れなさい。」
「はぁぁ?」
何これ。典型的な悪女の台詞吐いちゃうわけ?
「はぁ?じゃないわよ。あなたのような庶民が相手にする人じゃないのよ、あの方は。
セフレか何か知りませんが、早々に退散して下さる?」
そう言って、さっと目の前に封筒が差し出された。
「これで帰って頂戴。」
見るからにお金が入ってます・・・・って感じ。
手切れ金ってヤツですか?
「あのー、何なんですか?」
「お金が欲しいんでしょう?それならこれをあげるから帰りなさいって言ってるのよ。」
「いりません。っていうか、恥ずかしくないんですか?こんなことして。」
「何がかしら?」
「そんなに鷹男の事が欲しいのなら陰でこそこそしないで、正々堂々と戦ったら如何です?」
「どういう意味?」
「そういう意味です。」
あぁ、ヤダヤダ。
こんな低次元な話していたくない。
そう思って踵を返したら・・・・
え?
ドンっ!!
って後ろから押されて。
丁度段差の所を歩いていたから、よろけて・・・・
堪えようとした瞬間、足がぐきっ!っと音を立てた。
やば・・・・捻った。
壁に手を付いて、なんとか転ぶのを防いだのだけど・・・・歩けない。
そんなあたしの横を、ふふんっ!って感じで笑いながら公子さんが通り過ぎた。
押したの、絶対この人だよね!?
でも証拠も何もないから何も言えない。
悔しいのと、足が痛いのと、歩けないのとで俯いていたら・・・・
「えっ!?」
急に体がふわりと宙に浮いた。
「しゃ・・・・・鷹男!?」
公子さんが振り向いたのがわかった。
「どうした?誰かに押されたのか?」
あたしを抱きあげてくれた社長が、怒ったような顔であたしを見ていた。
公子さんは、動じることなくこっちをじっと見ている。
今此処で、公子さんに押されたって言っても、誰も信じてくれないだろう。
大騒ぎするだけ無駄なこと。
だって公子さんは今日の主役なのだから。
「ごめん・・・・段差に足を取られて転びそうになって・・・・」
「ったっく、お前はドジだな。帰るぞ。」
そう言って。
あたしを抱きあげたまま、歩き出そうとするから。
「ちょ、大丈夫ですから下ろして下さい!!」
皆の視線が集まっていて怖い。
そりゃあそうよね。社長はそれでなくても目立つんだから。
狙っている女性もわんさかいるんだろうし。
一瞬立ち止まった社長が言った。
「足、痛いんだろ?」
「ま、まぁ・・・・・。でも手を貸して貰えれば歩けますから・・・・・」
そう言ったら・・・・
「瑠璃、こんな時くらい甘えろよ。」
超絶に甘い甘いあまーーーーーい顔と声でそう囁かれた。
周りではきゃーっていう声も聞こえたし、あたしも心臓がばっくばく!!
何これ、マジでキュンときたんですけどー!!
って、トキメイテいたら。
耳元で俺様声が響いた。
「恋人設定なんだ。お前も甘い台詞の一つくらい言えよ。」
見れば公子さんが睨むような目でこっちを見ている。
ううー!!わかりましたよ、わかりましたよ!!
「鷹男、早く帰ろう?二人きりに・・・・なりたい・・・・」
とびきりの可愛らしい声でそう言って。
社長の首にぎゅっと抱きついた。
なるようになれーっ!!
きゃあきゃあと言うざわめきの中、「良くやった、三条」って社長が耳元で囁いて。
あたしは社長に抱きかかえられたままその場を立ち去ったのだった。
―――――そして・・・・
結局社長のマンションに連れ帰られたあたしは。
なんだかんだと言い含められ。
プレゼントに貰ったパジャマを着て、社長のマンションにお泊りすることになった。
勿論部屋は別だけど・・・・・
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